診察の待ち時間を大幅短縮: SMSを利用してPhilips Patient Managementが新しい待合室体験を実現
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*Philipsの社内データには、他の機関で達成可能な結果が反映されていない可能性があります。
想像してみてください。2020年3月、あなたは非常に重要な待機手術を受ける予定でした。しかし突然、新型コロナウイルス感染症が世界に猛威を振るい、あらゆるものが閉鎖、中止、延期されました。あなたの手術も含まれます。
しかし、この手術を延期する余裕はありません。今すぐに必要です。そこで、医師たちは、それでも手術を行えるよう、テクノロジーと安全を両立させる手順の確立に急遽取り掛かりました。
Philips Patient Management(旧Medumo)のクリニカルアフェアーズ部門リーダーを務めるHersh Goel医学博士は、医療パートナーと共にそれを見ていました。
「彼らが求めていたのは、今後どのように手術を再開しようか、待機手術に関する制限が緩和されるとどうなるのか、そして、患者を安全に呼び戻すにはどうすればよいのか、ということでした」とGoel博士は言います。
Philips Patient Management開発チームには、患者エンゲージメントを強化するテクノロジーを生み出すという信念がありました。しかし、新型コロナウイルスを受け、この領域がこれまで以上に重要であることが明らかになりました。待合室をなくすわけにはいきません。患者は、重要な手術や予定のためにそこに来る必要がまだあるのです。課題は、患者が毎日使用するデジタルテクノロジーを利用して、簡単にバーチャル予約ができるシステムでした。
Philipsチームは、そのシステムを開発しようと決意しました。テキストメッセージを利用すると、患者は待合室に来る必要がなくなります。重要な指示は、来院の数日前にテキストメッセージを送信すればよいのです。患者は、前日の手順のリマインダーから当日のチェックイン手続きまで、手術までの間に必要な情報を医師とやりとりし、治療プランについて医師からアドバイスを受けることができます。自分の順番が来たら、リアルタイムでテキストが届きます。


よりよいコミュニケーションのための空間
Philips Patient Managerは、最初からバーチャル待合室の開発を考えていたわけではありません。実際、Goel博士によれば、パンデミック前にそのようなアイデアはありませんでした。
しかし、同社のビジョンは常に、患者と医療提供者のコミュニケーションを必要に応じて改善することでした。そして新型コロナウイルスが始まり、混乱の中で待合室ソリューションを打ち出したのは、自然な成り行きでした。
「医療業界は、過去数年、非接触チェックインの普及率が非常に低い状態でした。しかし、医療パートナーとの対話を経て、ワークフローにテキストメッセージングの要素を組み込ことにより、理解を高めることが根本からできると、確信しました」とGoel博士は話します。
「そこからが本当の始まりでした。私たちの価値提案の一つは、すべての患者と関わり、彼らが来院できるようにすることの意味について考えることでした。つまり、指示や準備の観点からだけでなく、全体的な視点でバーチャルワークフローを促進することも考えました。それはTwilioの技術インフラにはなく、明らかに難しい挑戦でした」


実際の会話と変わらないコミュニケーションを実現
新しいバーチャル待合室の実現に、Twilio Programmable Messagingを使用することには、2つの理由から、シームレスなプロセスであることが証明されました。1つ目は、既存のPhilips Patient Managementの患者とのコミュニケーションにおいて、SMSがすでに活用されていたことです。
Philips Patient Managementでプロダクトマネージャーを務めるAli Haber氏は次のように説明します。「私たちはすでに患者に予約前にこのような案内をしていました。そのため、当日に患者に何かを渡し、それに患者が反応することを期待するだけではありませんでした。私たちはすでに常に患者との関わりを持ち続け、患者もこのような種類のメッセージを受け取ることを期待していました」
そのシンプルさが、成功の要因となっています。
「アプリケーションをダウンロードする必要もなく、ログインIDとパスワードの入力といった一連の作業もありません。非常にシンプルです。やはりこれが、取り組みが成功している理由の1つでしょう」Goel博士はそう話します。
もう1つの成功要因は、テクノロジーそのものです。
シニアプロダクトマネージャーのGabe Chaney氏は、コミュニケーションワークフローを視覚的に構築するために、Twilio Studioは大きな役割を果たしたテクノロジーコンポーネントであると評価します。
「Twilio Studioを導入した結果、バーチャル待合室を自社開発することができました。UIが優れており、UXフローの構築に手間はかかりませんでした。タイトなスケジュールの中、短期間でパイロットを実施する必要がありましたが、Twilioを使い非常にスピーディに作業を進めることができ、手が空いたメンバーはクライアントテストと連携業務に集中することができました」とChaney氏は話します。
すぐにシームレスに連携できるだけでなく、Philips Patient Managementを使用するPhilipsの各クライアントのためのカスタマイズも重要でした。この製品の開発に際しては、コンテンツの変更を、患者、治療内容、チャネル、言語の区別なくできる機能が不可欠でした。
「TwilioのAPIにより、言語ごとに異なるバージョンのコンテンツを用意することができました。英語が母語でないクライアントも多い当社にとって、これは極めて重要なポイントです」とHaber氏は話します。
“Twilio Studioを導入した結果、バーチャル待合室を自社開発することができました。UIが優れており、UXフローの構築に手間はかかりませんでした。タイトなスケジュールの中、短期間でパイロットを実施する必要がありましたが、Twilioを使い非常にスピーディに作業を進めることができ、手が空いたメンバーはクライアントテストと連携業務に集中することができました。”
より大きな対話
チームはPhilips Patient Managementを支える哲学と価値観により、コロナ禍においても患者のニーズに迅速かつ思いやりをもちながら対応できました。しかし、より大きな見方をすれば、それは医療従事者にとっては時間節約になり、患者にとってはより簡単で明快なコミュニケーションができることになります。そして最終的には、患者との関わりや患者の健康に関する自律性を向上させるための画期的な新しいプロセスになります。
「バーチャル待合室の導入状況を調べると、実際の待合室での待ち時間に比べ、患者1人あたりの時間節約は約11分です。その効果は、バーチャル待合室がなければ病院から発信していたはずの電話の数にも表れています。このフローを利用する患者の数だけ、電話をかけずに済んでいるのです」Goel博士はそう話します。
時間短縮と情報の明確化を実現したPhilips Patient Managementは、まったく新しいレベルの自律性と主体性を患者と医療者の両方にもたらしました。それだけではありません。人と人とのつながりに大きく依存する医療業界にも、より多くの共感的コミュニケーションの機会がもたらされています。
Chaney氏はこう話します。「私は技術的な側面だけでなく、人に与える影響という意味においても、この製品に期待しています。医療従事者は携帯電話から患者にテキストを素早く送信するだけでよくなるのを想像します。これからも、そのような製品をつくり続けたいと考えています。医療者が気軽に『調子はいかがですか?お困りのことはありませんか?』とテキストを送信する、それは本当に効果的だと思います」