THGがメールとSMSのグローバルなマーケティングキャンペーンによりeコマースを拡大
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課題
THGは、国際的な小売ブランドの拡大目標に柔軟に対応できる、メールやSMSのマーケティングプラットフォームを構築する必要がありました。
解決策
THGは、Twilioを利用してエンドツーエンドの独自のeコマースソリューションを構築しました。これにより、英国、ヨーロッパ、米国、アジアの顧客に対するメールやSMSによるマーケティングが実現するとともに、新たな市場やWhatsAppなどのチャネルに拡大する柔軟性も生まれました。
THGは、世界有数のeコマーステクノロジーグループであり、2022年の収益が22億ポンド(27億米ドル)にのぼるブランド所有者です。買収に加え、製品、テクノロジー、国際展開を通じて成長し、この売上を達成しました。THGの運営は、3つの中核部門、THG Beauty、THG Nutrition、THG Ingenuityに別れています。
THG Beautyは最大の部門であり、Lookfantasticなど1業種専念のコンテンツサイトを運営し、スキンケア、ヘアケア、化粧品、フレグランスのカテゴリーにわたる、1,300を超えるプレミアムブランドを195の地域に提供し、英国、米国、ヨーロッパで主導的な地位を築いています。
THG Nutritionは、栄養とウェルビーイングに注力する、デジタルファーストブランドのグループです。世界最大のオンラインスポーツ栄養ブランドであるMyproteinもその一員です。THG Nutritionの製品は、プロテインパウダー、サプリメント、バー、スナック、ドリンク、パフォーマンスウェアなど多岐にわたります。
THG Ingenuityは、THG BeautyとTHG Nutritionのeコマースプラットフォームをスムーズに運用すると同時に、このプラットフォームを包括的なサードパーティeコマースソリューションとして世界中の小売ブランドに提供しています。
グローバルな買収によるコミュニケーションチャネルの統合と拡大
グループのCRMディレクターであるPaul Bonner氏がTHGに入社したとき、同社はローカライズされた6つのWebサイトを持つMyproteinを買収したばかりで、既製のメールプラットフォームを使用していました。THGには高い成長目標があり、規模を倍にしたうえで、新しい地域への拡大と新しいブランドの買収を通じてさらに2倍にしたいと考えていました。
THGは、この計画を実現するために複数の課題に対処する必要がありました。メールに限定すると、新しい地域に拡張するにあたり、言語とテンプレートの新しい要件が導入されました。新しいビジネスを買収する場合、THGはオプトインメールデータベースを移行し、既存のマーケティングテクノロジースタックと統合する必要があります。そして成長を維持するには、効果的であり、膨大な数の部門、ブランド、Webサイトなどをまたいで複製やサポートが可能なマーケティングプログラムが必要です。
Bonner氏のCRMチームは、こうした多くの課題に取り組んでいる最中でした。チームはすべての部門にまたがり、すべてのデジタルツールを、ベストプラクティスに従い、可能性を最大限に発揮させるよう使用する許可を与えられました。
THGは月次ベースで10億通のメールと300万通のSMSを送信するまでに成長し、どちらの媒体も、マーケティングや、消費者との取引上のコミュニケーションに使用されています。標準的な取引メールでは、注文に沿いながら顧客を追跡するでしょう。確認から始まり、配信を通じて更新情報を提供するなどです。
マーケティングに関して、THGはメールとSMSのマーケティングを含む堅牢なソリューションを構築しました。マーケティングは一元化されており、複数のチャネルが、同じグループとシステムにより運営されます。キャンペーンは、以前の購入行動に基づいて異なるコンテンツを送信するようにセグメント化されています。ターゲットが特定されると、どのチャネルを使用するかをマーケティングチームが決定し、プログラムを開始します。割引プロモーション以外にも、カート放棄キャンペーン、ロイヤルティ/メンバーキャンペーン、VIP特典なども実施しています。
キャンペーンの後、詳細な分析を通じて結果を評価し、将来の最適化のためにCRMにフィードバックします。これにより、特定の消費者が何を望んでいるのかを把握し、より効果的にターゲットを絞ることなどができます。
“ブラックフライデーでは、Twilioにチェックインしてインフラストラクチャとセットアップについて話し合うことがよくあります。ボリュームを管理するために新しいIPアドレスと新しいIPプールが必要になるくらい成長したからです。また、THGで、ある部分で行うことが別の部分に悪影響を与えることは望ましくありません。これに備える最良の方法を見つけ出し、進化させ続けるうえで、Twilioは、長年にわたり非常に役に立ちました。”
データ分析による最適化を行う、メールとSMSのマーケティングプラットフォームを構築
Bonner氏は、Twilioは開発者が開発者のために生み出したと、THGの技術チームが聞いたときのことを思い出し、「正しい選択肢だったと感じた」と言います。
THGは独自のeコマースプラットフォームを構築することから始めました。これには、マーケティングメールなどのコミュニケーションを配信する機能を含みます。メールフロントエンド(インターフェイス)を自社で構築し、ユーザー企業がマーケティングキャンペーン用のテンプレートと消費者のセグメントを構築できるようになりました。システムを所有したことから、必要に応じて新しいブランドを迅速、簡単に統合できるというメリットも得られました。Bonner氏は、「そして、新しいブランドを買収する際に、ブランドを簡単に組み込めるようになりました」と明かします。
Twilioとの連携により、THGはマーケティングプラットフォームを拡張してSMSコミュニケーションもサポートできました。Bonner氏は、米国など一部の市場ではSMSが好まれるコミュニケーションチャネルであり、最適なマーケティングにはSMSが欠かせないとしています。THGは、Twilio SendGridによるメールで成功を収めたことから、SMSでも同様のことを行うようになりました。SMSマーケティングキャンペーンを可能にしたのはTwilioのAPIでした。このAPIは、現在のプラットフォームに簡単にプラグイン可能です。信頼性が高く、将来的に新しい市場にも拡張可能です。
THGでは、結果を分析し、キャンペーンを最適化できるデータを必要としており、Twilio Webhookがこの要件を満たしやすくしています。Bonner氏は、ファネルレポートを手始めに、リクエスト、配信、配信の割合を例として示しました。このデータは、到達率の傾向を把握し、将来の解決に向けて潜在的な問題を特定するうえで重要です。
THGは、マーケティングアトリビューションを得るために、開封、クリックスルー率、ブロック、バウンス、コンバージョン、収益などの一般的なマーケティングエンゲージメントメトリックスも追跡しています。Bonner氏によると、SMSで利用できるメトリックスはやや少ないものの、THGはマーケティングチャネル全体で可能な限りレポートに一貫性を持たせることを目指しているとのことです。このデータは、日、ブランド、月、キャンペーンごとに集計されます。最後に、THGは結果をCRMにフィードし、将来のセグメンテーションとマーケティングの最適化を実現します。
“APIとWebhookを通じてデータを迅速に取得できるため、社内のデータすべてを独自のレポートソフトウェアに取り込み、可視化できるようになりました。我々が目指したことすべてが実現されました。”
メールとSMSを利用してマーケティングをグローバルに拡大
THGは月に10億通のメールを送信するまでに成長しました。ブラックフライデーのような日にはピークに達して、通常の3倍の量になります。こうした期間にTwilioがいかに頼もしいかについてBonner氏は次のように語ります。「Twilioは信頼できるサプライヤーとして、この業界で定評があります。この評価について長々と心配する必要はなく、この定評がすべてを物語るでしょう」
THGはTwilioのプロフェッショナルサービスを利用することで、メールの到達率を大規模で確保するメリットも得ています。THG担当のTwilio配信コンサルタントのSerena Maffeiによると、THGのメール配信率は直近12か月間で98.6%であり、2022年のブラックフライデーでは99.2%を達成しました。Bonner氏はまた、配信コンサルタントがいることは、さまざまな地域での微妙な違いに対処するうえで役立つと説明しました。アジアでは、メールボックスプロバイダーのポリシーが、グローバルなGmailやHotmailのポリシーとは大きく異なり、Twilioチームの分析情報が非常に有用とのことです。
SMSに特化すると、THGの顧客の10~20%がSMSマーケティングにサインアップし、現状毎月300万通が送信され、11月の送信量は600万通に急増しています。Bonner氏は、SMSマーケティングの効果は当初から非常に良いと述べています。「SMSのエンゲージメント率は非常に高いため、短期的なフラッシュセールなどのキャンペーンに非常に効果的であることが判明しており、ブラックフライデーでも明らかに有効です。売上をもう少し上げるようCEOから要請されたとしたら、SMSが役立つことでしょう」
Twilioを活用するTHGの未来
2019年から2022年にかけて、THGは収益を194%増加させ、まだその計画の途上にあります。今後も英国に注力するつもりであり、米国と日本では過去数年間と同様の急速な成長が続くと期待しています。アラブ首長国連邦(UAE)やインドなどの新たな地域への拡大も計画しています。
顧客の好むチャネルでコミュニケーションをとることが重要であり、メールやSMSで顧客に連絡を取ることが次第に困難さを増していることを認めつつも、Bonner氏は、WhatsAppが非常に重要であることと、THGで検討中であることを明らかにしました。チャネルの好みが世界各地で異なることを考慮しながら、Bonner氏は次のように言います。「Twilioが理解し、分析情報を共有し、どこに注力すべきかについて把握するうえで支援してくれることも、パートナーシップから得られる大きなメリットの1つです」