audibene、TwilioのAIとブランデッドコミュニケーションで次世代の聴覚ケアを実現
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課題
audibeneは、複数国への事業拡大により、従来の電話システムでは対応しきれない状況に陥っていました。同社が必要としていたのは、ヘルスケア基準のコンプライアンス、高度なデータの可視化、大量の顧客アプローチを統合管理する方法、そしてコンサルタントが煩雑なシステム操作に追われることなく、一人ひとりに寄り添った対応を維持できる体制でした。
解決策
audibeneはTwilio Flex上にカスタムの「パワーダイヤラー」を構築し、Programmable Voice、WhatsApp、RCS、AIを統合しました。この統合プラットフォームにより、コンサルタントにとっては操作が簡単で、顧客にとってはパーソナライズされた、シームレスなオムニチャネルコミュニケーションの提供が可能になりました。
「Twilioは、当社のコミュニケーション戦略の中核を担っています。プラットフォームの制約に縛られることなく、必要な機能を思い通りに構築できます」
audibene、AIを活用したTwilioの「信頼の対話」で売上を拡大
世界には12億人もの難聴者がいますが、早めに相談に訪れる人はごく一部にすぎません。難聴を自覚してから実際に補聴器を使い始めるまで、平均で7年もの時間が費やされています。難聴を放置すると、会話の機会が減り、人間関係の質も低下してしまいます。
世界8か国で事業を展開し、1,200人以上の従業員と3,500人以上の提携聴覚士を擁する聴覚ケアのグローバルリーダー、audibene(ヨーロッパ以外ではHear.comブランドで展開)は、この状況を「3つの障壁 (Resistance Trilogy)」と呼んでいます。1つ目は「心理的な壁」。年寄り扱いされたくないという思いや、徐々に進行する難聴への無意識の拒絶があります。2つ目は「経済的な壁」。補聴器は両耳で1,000~6,000ドルと高額で、保険適用の仕組みは非常に複雑です。3つ目は「身体的な不安」です。フィッティングのプロセスが、ハードルの高い本格的な「医療処置」のように感じられてしまうのです。
顧客ジャーニーには数十ものタッチポイントが存在し、その複雑さゆえに、能動的で信頼の置けるガイドによるサポートが欠かせません。
「聴覚を取り戻し、再び充実した生活を送っていただくためには、まず信頼関係を築く必要があります。それを実現する最良の方法は、対話なのです。」
コミュニケーションの基盤を構築する
Twilioは、音声を主軸としたaudibeneのコミュニケーション戦略を支える土台となりました。同社は、米国、ドイツ、フランス、スイス、オランダ、南アフリカの各国で、Twilioのインフラを介して毎週3万件以上の通話を処理しています。
基礎的なインフラだけでは不十分でした。audibeneが必要としていたのは、コンサルタントが事務的な作業から解放され、顧客への対応に集中できるシステムでした。同社は、Twilio Flex上にカスタムのパワーダイヤラーを構築し、OpenCTIを介してSalesforceとの高度な統合を実現しました。
Petrovsky氏は次のように述べています。「プロダクトマネジメントの世界には、『理想のインターフェースはボタン1つだけ』いう冗談がありますが、私たちはまさにそれを実現しました。コンサルタントが『スタート』を押すだけで、新規のリード、折り返し電話の予約、相談後のフォローアップなど、次に最も優先度の高い顧客をシステムが自動で表示します。複雑な処理はすべてバックエンドで行われているのです」
Twilioで構築したシステムは、時刻、過去の連絡試行回数、ビジネス上の優先度など、30種類の要因に基づいて、作業項目作成の90%を自動化します。コンサルタントは、Twilio Flex、カスタムUIコンポーネント、バックエンドのオーケストレーションサービスがシームレスに統合された、使いやすいインターフェースを活用して、より効率的に業務を行っています。
チャネルを越えて続く対話
聴覚ケアにおいて大切なのは「信頼」であり、その関係は一つのチャネルだけで成り立つものではありません。audibeneでは、電話をその場限りの対応で終わらせず、「対話のプロセス」一部として捉え、メッセージングを「つながり続ける一本のライン」と考えています。それは一回きりのやり取りの繰り返しではなく、顧客が中断したところからいつでも再開できる、終わりのない対話のような感覚です。
WhatsAppの導入により、audibeneは複雑なトピックもスムーズに顧客に説明できるようになりました。動画を使えば、補聴器のお手入れ方法を視覚的に伝えられますし、クイック返信は、顧客とのコミュニケーションにおけるストレスを軽減します。書類の送付が必要な場合も、顧客は写真を撮って、使い慣れたチャネルでコンサルタントに直接送ることができます。
RCSの導入により、WhatsAppを使っていない顧客に対しても、同様の充実した安心のサービスを提供できるようになりました。これは、特に米国市場において大きな意味を持ちます。認証バッジが表示されることで顧客の信頼感が高まり、固定料金のメッセージ形式を採用しているため、audibene/Hear.comはSMSの文字数を気にすることなく、コンテンツの質に集中できるようになりました。導入からわずか数か月で、RCSはWhatsAppに次いでaudibeneの2番目に重要なチャネルとなりました。一部の顧客層では、SMSと比較してコンバージョン単価を8~9分の1にまで削減することに成功しています。
現在、audibeneのメッセージの87%は、従来のSMSではなく、RCSやWhatsAppを通じて配信されています。
「RCSからSMSへの切り替えは、当社の採算性を劇的に変えました。クイック返信やリッチメディアの活用により、顧客はより気軽に会話を始め、継続できるようになっています。当社のシステムは、顧客のプラットフォームに合わせてインテリジェントに適応し、SMSを利用している顧客には、Twilioを通じてテキストのみの通信に最適化されたメッセージを配信します。」
最初のワンコールで築く信頼
第一印象は、誰かが「もしもし」と口にする前に決まります。audibeneは応答率を向上させるため、発信者のブランド名、ロゴ、そして電話の理由を表示するブランデッドコーリングを活用しています。
「ブランデッドコーリングは、特定の通話カテゴリーにおいて、エンゲージメントを確実に高める強力な武器になります。Twilioはセットアップやテストが簡単だったので、すぐにその効果を検証できました」とPetrovsky氏は言います。
人間に取って代わるのではなく、可能性を広げるためのAI
audibeneは、Twilio、Deepgram、AWS Bedrock上に構築されたAIパイプラインを通じて、毎週3万件の通話を処理しています。システムは、通話の質の評価、顧客固有の問題の分析、通話記録の作成など、これまでコンサルタントが何時間も費やしていた煩雑な業務を自動化してます。
しかし、AI活用の真の狙いは、単なる時短ではありません。難聴に悩む方々を一人でも多く、もっと早い段階で支援することです。その哲学は「置き換え」ではなく、「拡張」にあります。日常業務や手が回らない部分はボットが担い、コンサルタントは人間の判断や共感を必要な対話に専念できるようになります。
「多くの企業にとって、電話応対はコストがかかる場所かもしれません。しかし私たちにとって、顧客との会話は成長の原動力です。音声オペレーターを活用することで、より多くの人々を支援できるようになります。24時間365日の対応と迅速な回答が可能になり、よくある質問にはAIが回答するため、コンサルタントは人のぬくもりを必要とする、より複雑な相談に対応できます。」
「創る」ことから始まる
audibeneは、他社との差別化に直結する要素(ダイヤラー、AIワークフロー、コンサルタントの業務体験など)を自社で構築し、グローバルで安全な通信インフラについてはTwilioに任せています。Flexのおかげで、ダイヤラーとCRMの境界線がなくなり、一つのツールとして扱えるようになりました。音声通話やメッセージングは常に安定し、データも正確です。そして、課題が生じた際には、Twilioパーソナライズドサポートがプロアクティブなパートナーとして私たちを支えてくれます。
「私たちは、自分たちの手で未来を創る『ビルダー』です」とPetrovsky氏は言います。「ヘルスケア業界のコンプライアンスは他業界より厳格です。当社は、ビジネスの成長に合わせてソリューションを常に進化させる必要があります。そのため、既存の製品が私たちのニーズにぴったり合うことはまずありません。私たちは、自社の課題に特化したソリューションを自分たちで構築するアプローチをとっていますが、Twilioのような実績のあるプラットフォームを活用することで、土台となるインフラ作りに無駄な時間をかけないですみます」
次のステップ
audibeneは、まず既製のボイスボットソリューション導入して、迅速な検証と改善を繰り返してきました。しかし、事業規模の拡大に伴い、より実績のあるプラットフォームが必要になりました。次なるステップは、Twilio ConversationRelayの導入です。これにより、既存のインフラやコンサルタント中心のワークフローと連携させつつ、設定を柔軟に変えたり、機能を拡張できる体制を整えていきます。
「価値のある対話が増えるということは、より多くの人々が聞こえる喜びを取り戻し、充実した生活を送れるようになることに他なりません」とPetrovsky氏は語りました。