コロナ禍で対応を迫られたコールセンターのBCP対策

コロナ禍で対応を迫られたコールセンターのBCP対策

トマトケチャップや野菜ジュースなど、トマトをはじめとする野菜を使った食品でおな じ み の「 カゴメ株式会社 」。消費者からの問合せを受けるお客様相談センターでは、2022年9月からTwilioのトールフリー番号とTwilio Elastic SIP Trunkingを導入し、コールセンター業務のシステムを完全クラウド化しています。開発の経緯について、カゴメのバックオフィス業務とDXを担うカゴメアクシス株式会社業務改革推進部業務プロセスDXグループの杉木 幹治氏に伺いました。

「カゴメのお客様相談センターでは『輪システム』というCRMシステムを利用し、顧客情報や応対履歴、録音データなどを一括管理していま す。2019年にこの『輪システム』を機器の老朽化更新と共に、クライア ントサーバー方式からブラウザ方式へと切り替えました。その後2020 年に入り新型コロナウイルスの感染が拡大し、コールセンターもリスク分散の必要に迫られましたが、当時PBXがオンプレミスであったた めに部屋を分ける、リモートで対応するといった選択が取れなかった のです。コールセンターのBCP対策を第一の目的に、保守・運用面で のメリットも考えPBXのクラウド化計画がスタートしました。」

既存機能の継承のため、 模索を続けたPBXの移行

当初の予定では数か月でのローンチを予定していたPBXの移行計画ですが、予想外の壁が立ちはだかったといいます。

「お客様相談センターでは、NTTが提供するカスタマーコントロール機能を駆使し、長年培ってきたノウハウがあります。それらを継続して使うことができ るよう、数多くの要件をクリアできる仕組み作りが必要でした。そのためPBXの移行については、『輪システム』を担当し内情をよく理解しているシステム インテグレーターが主導しました。クラウドPBXの候補としてGenesys Cloudを活用するプランを進めており、接続にはアナログ回線からIP回線への 移行が必要でした。そこで相性の良いIP回線としてTwilioを紹介されたのが導入のきっかけです。

…と 、ここまでは順調に進んでいたのですが、その後さまざまな紆余曲折があったんです 。まず、もともとNTTのアナログ回線からNTTのフリーダイヤル番号につないでいたのですが、N TT回線からTwilioのフリーダイヤルへ移行できないという問題が出てきました。一 度別の電話会社でフリーダイヤルを取得しなおす案もあったのですが、取得に最短で3か月以上かかってしまい、またカスタマーコントロール機能が継続できない可能性があるということで 断念。そこで、NTT回線のままオンプレミスのゲートウェイ機器につなぎ、Genesys Cloudへ流し込むというハイブリッド案を検討することになったので す。しかしここでもカスタマーコントロール機能の確認・調整に相当な時間がかかってしまいました。実はもういっそオンプレミスに戻す方がいいのでは…という案も出たのですが、後継機がもう製造されていないと聞いたときは、膝から崩れ落ちるかと思いましたね(笑)。退路を断たれてしまいました。

そうこうしているうちに2022年4 月頃 、Twilioのサービスの選択肢が広がり、NTT回線からの移行が可能になったんです。乗りかかっていたハイブリッド案で進めるか、完全クラウド化に舵を切るか悩みましたが、ハイブリッド案では結局オンプレミスの機器を抱え続けることになってしまうため、クラウド 化を決断。そして同年7月にはテストにこぎつけ、9月にはようやくクラウドPBXでのコールセンター運用が始まりました。ギリギリまでお客様相談センター側との調整を重ねることができたのは、やはりクラウドならでは。フレキシブルに機能追加ができるという点は、今後の拡張しやすさにもつながっていくと思います。」

コールセンターシステムのクラウド化で、働き方の選択肢を広げる

多くの困難を乗り越えて結実したPBXのクラウド化ですが、結果どのようなメリットがあったのでしょうか?インフラ関連の開発を担当する、業務改革推進部 ITマネージメントグループの澤和 勇貴氏に伺いました。 「まず、執務場所の分散によるBCP対策という最大の目的を達成することができました。コールセンターシステムがクラウド化したことで、オペレーターが自宅などからリモートで対応することも可能になりましたが、現状そこまでは考えていません。コールセンターにはさまざまなお問合せが来ますが、中には製品やサービスに関するご指摘のお電話もあります。いざというとき、目配せやハンドサインひとつで上長にエスカレーションできることはスタッ フの心理的安全性の担保に不可欠ですから、従来と同じく目が届く範囲で受電することを優先しています。しかし、例えば専門的な内容についてのお問 合せが来た場合、担当者が会社にいなくても自宅や出先に転送したり、状況確認ができたりすることで働き方の幅は広がります。

カゴメのお客様相談センターでは、顧客満足向上のために応対のノウハウやスキルを絶え間なく磨いてきました。そのクオリティを保つには、裏側のシ ステムが変わっても今までと同じように業務を継続できることが重要です。『変わらない』という大切な価値を提供できるよう、私たちはできる限りの後方支援をしていますが、Twilioの回線が安定し、トラブルなく運用できていることには非常に助けられています。通話品質も高く、アナログ回線のときとほぼ遜色のないやりとりができているようです。

またコスト面でいえば、当初検討していたハイブリッド案だった場合、機器の導入などの初期費用で開発予算を1.5倍近くオーバーするところでした。3年ごとの音声関連機器の更新コストや保守のための時間も必要です。その点を考えると、完全クラウド化に踏み切ったことは結果的に最善の選択でしたね。」

時代に合わせた変化を続け、顧客コミュニケーションを発展させる

これからのコールセンターのDXについて、澤和氏に構想をお聞きしました。 「例えばIVRやAIを活用することで、コールセンターから別の部署に取り次いでいる案件は事前に振り分ける、簡単なお問合せには自動で応対するなど、コールセンターの業務負担軽減に貢献できると考えています。あとは、お客様相談センターの環境がVRになったら面白いですよね。実際には離れていて もそれぞれのオペレーターの様子がわかるようになれば、リモートでの対応が可能になるかもしれません。コロナ禍で私たちの意識が変わったように、こ れからも働き方の常識は変わっていきます。シニア層でもスマホに親しむ方が今後増えていくことも見越し、時代に合わせ音声以外のコミュニケーショ ンチャネルでの対応も発展させていきたいです。」

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