SMSで深化する顧客接点    Twilioショートコードが拓く     対話型マーケティングの新潮流

Twilioが提供する、国内4キャリア対応の10桁ショートコード(“0005”から始まる番号)を活用した双方向SMSチャネル──それがATIROの「ATIRO CODE」です。LINEやメールでは実現しづらい“ユーザー主導”のコミュニケーションを可能にし、リマインド配信、決済リンク送信、ユーザー識別など多彩な用途でマーケティングに革新をもたらします。


一方通行から双方向へ。企業と顧客をつなぐSMSという選択肢

LINEやメールを使ったマーケティングはすでに飽和状態。LINEは「友だち」になった後での情報のやりとりになり、メールは開封率が低いという課題があります。そんな中、新しい顧客接点を模索し、つくられたのがショートコードを活用したSMSソリューション「ATIRO CODE」です。ATIRO株式会社 代表取締役・織田慎弥氏に、開発の経緯を伺いました。

織田氏「ATIRO CODEは、Twilioの専用10桁ショートコード番号を用いたSMS配信サービスです。二次元コードやバナーなどのタッチポイントを通じて、ユーザーがメッセージ送信や受取時間を指定すると、指定時刻にリマインドSMSを自動送信。即時クーポンや決済リンクの発行、Web予約フォームの送信、位置情報の提供などが可能です。また、企業側が保有している顧客情報に基づき、AI技術を組み合わせることで、ユーザーごとにパーソナライズされたメッセージを送る取り組みも始めています。

私たちが主軸としているのは、企業と顧客を双方向につなぎあわせるコミュニケーション基盤のサービス。その意味で、Twilioのショートコードにはとても惹かれるものがありました。SMSアプリは携帯端末に標準で実装されているため、誰でも利用できます。また、日本国内のすべての携帯キャリアに対応したこの共通番号は、QRコードや広告と組み合わせたキャンペーン展開にも向いています。そして最大の特徴は、ユーザー自身が最初にメッセージを送る“受信起点”の設計です。一方的に企業からメッセージを送りつけるのではなく、ユーザーのアクションを起点とし、それに応えるという、今までにないSMSマーケティングが可能になると感じました」

 

強みは“つながりが残る”こと。ショートコードで変わる顧客接点の設計

すでにATIRO CODEはいくつかの企業で導入されています。それぞれの事例で、ショートコードならではのさまざまなメリットを感じているようです。

織田氏「ショートコードの利点はさまざまありますが、企業側にとって魅力を感じるポイントは『電話番号を取得できる』という点にあります。たとえば、タクシー広告で展開したビジネスカードのキャンペーンに、私たちのATIRO CODEが活用されています。広告の中に二次元コードを掲載し、それを読み込むことでSMSを送信できる仕組みです。もしユーザーが離脱したとしても、SMSが送られてきた電話番号をコールセンターと連携すれば、アウトバウンドコールでフォローができます。デジタル広告という限られた領域だけではなく、その後の顧客接点まで設計できる。コミュニケーションの“続きをつくる”取り組みとして、非常に象徴的な事例でした。

また、外国人観光客向けに展開している翻訳サービス『クイックトーク』にも、ATIRO CODEを導入いただいています。仕組みとしては、まず日本でSIMカードを取得した外国人ユーザーが、指定のショートコード宛てにSMSを送信。そのメッセージに自動返信される形で、翻訳アプリのURLが返ってきます。リンクを開けば、そのままブラウザ上で『クイックトーク』が立ち上がるという流れです。外国人の方が一時的に利用するブラウザベースのサービスだと、どうしても個人が特定できず、課金や利用状況の把握が難しい。でもSMSなら、確実にその人の番号と紐づく。Twilio Flexを使って翻訳の仕組みそのものも構築しているのですが、入り口としてATIRO CODEがあることで、サービスの信頼性が一気に高まると感じています。

土地活用サービスを展開しているオウンドメディアにも、ATIRO CODEを導入していただきました。施策としては、Webサイトで離脱しそうになったユーザーにポップアップで二次元コードを表示。ユーザーがそれを読み取り、ATIRO CODEを通じてメッセージを送信することで、最新カタログをダウンロードできます。一見シンプルですが、実は革新的な仕組みなんです。PCでサイトを見ていたユーザーが、二次元コードを通じてモバイルへ移行する点がポイント。そのスマホからSMSを送ることで電話番号が取得でき、個人の特定が可能になります。つまり、フォーム入力なしで“確実な顧客データ”が取れるようになるわけです。さらにその番号を過去の問い合わせ履歴と照合することで、既存顧客か新規かも見分けられる。その結果、営業側もより精度の高い商談につなげられるようになり、クライアントからは『こんな導線があるとは』と高く評価いただきました。

日本におけるSMSのイメージは、マーケティングというよりも通知を受け取る手段として強く認識されているため、SMSからの申し込みなど次のアクションにつながることはまだ多くありません。しかし、ショートコードにはそれを超えた価値があります。ショートコードを通じて電話番号を取得できるため、ユーザーが最終的にどの段階までアクションしたかを追跡できるなど、多方面のコミュニケーション領域に広がりを生み出せる点が非常に好評です。まだ構想段階ですが、コールセンター業務もある程度AIで自動化できれば、アウトバウンドコールまで含めてATIROが一括で提供することも可能になると考えています。

一方で、日本がアメリカほどSMSマーケティングが盛んでない理由のひとつに、セキュリティへの懸念があります。個人を特定しやすいチャネルであるがゆえに、悪用されることへの不安が大きいのです。しかしショートコードはユーザーが自発的にメッセージを送る仕組みであることから、この課題を払拭できるツールとして期待されています。ユーザーは、送信する番号が特定の企業のものであると認識してショートコードを送るため、二次元コードのフィッシング詐欺のようなセキュリティリスクが低く、安全に利用することができます。そのため、どの番号がどの企業のものかが浸透すれば、利用者は自然と増えていくでしょう。私たちも取得した番号のプロモーションをさらに強化し、安心して使ってもらえる環境づくりを目指しています」

 

円滑なシステム開発を実現する、エンジニアフレンドリーなTwilio

まったく新しいサービスに挑むと聞くと、技術的な壁や開発の難航を想像しがちです。しかしATIRO CODEでは、そのプロセスは意外なほどスムーズに進んだといいます。

織田氏「ATIRO CODEの企画からリリースまでは約1年を要しましたが、最も時間をかけたのは『このサービスが世の中に受け入れられるのか』という企画段階。実際の開発作業は順調に進み、Twilioの担当者からの情報提供やリファレンスも非常に充実していたことから、導入に関して大きなハードルは感じませんでした。今回のシステムは自社で構築したため、TwilioのUIを直接使用してはいませんが、その操作性には感心しました。UIがしっかり設計されているため、開発初心者でもフローチャートに沿って進めるだけで、やりたいことを実現できる環境が整っていると感じます。

実際に運用を始めてからも、大きな問題は発生していません。4大キャリアすべてに対応しており、ユーザーが送信したメッセージ内容を基にセグメントを作成し、さらに追加メッセージを配信するといった柔軟な運用も実現できています。現在は、多くの方にこのサービスを知ってもらう段階にあり、今後の展開が期待されています」

 

SMS決済からAI通話まで。広がる構想、進化する体験

今までにないSMSマーケティングの可能性を秘めたATIRO CODE。今後の展望について、織田氏に伺いました。

織田氏「次のステップとして見据えているのは、SMSだけで買い物ができるサービスです。これを実現できれば、クレジットカードを持っていないけれど携帯電話は持っているという人も決済が可能になり、コード決済のように広く普及する可能性を感じています。まずは法人向けサービスとして、ATIRO CODEで送った決済が経費精算できる仕組みを検討していきたいです。

また次なるコミュニケーションツールとして、音声通話に注目しています。現在は外国人旅行者が日本人スタッフとネイティブ言語で対応できるよう、Twilio Flexと生成AIの翻訳機能を使ったサービスを急ピッチで開発中です。現在はAIが仲介役となっていますが、将来的には完全にAIとの会話だけで成り立つ仕組みを目指したいですね。いずれはユーザーとの会話を通じて要望をAIが理解し、言語を問わず、フォームの入力もなしで最終的なオーダーまでAIが行えるような体験を目指しています」

 

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